第18回である今回は、前回の告知通り、「
株券電子化とは?」です。
1.株券の電子化
ここ最近、ニュースや証券会社のCM等で「
株券電子化」の話を耳にするかと思います。
これは、平成16年6月に公布された「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(以下「決済合理化法」といいます。)」の施行が、平成21年1月に予定されており、時期が近づいているからです。
決済合理化法が施行されると、上場会社の株券は全て廃止となり、振替口座簿で管理する振替株式制度に移行されます。つまり、現在の証券保管振替機構(以下「ほふり」といいます。)を中核としたコンピュータのネットワークで一元管理されることになります。
ちなみに、
株券電子化の影響を受けるのは上場会社及びこれから上場審査を行う会社のみです。それ以外の会社については、定款の規定に基づき、株券発行会社・株券不発行会社のいずれでも選択することが可能です。
2.株主の対応
とはいえ、現在証券会社に口座を所有し、インターネット等を利用して株取引を行っている人は、購入した会社の株式分の株券を実際にお持ちではないと思います。
現在でも、証券会社を通して株式を購入した場合、株券はほふりに預託され、名義書換手続をご自分で行う必要がありません。
そして、ほふりに預託されている株券については、
株券電子化に際して自動的に新制度へ移行されますので、株主が特別な手続や対応を行う必要はありません。
したがって一般投資家である株主の多くは、証券会社から送られてくる文書又はメールにしたがって対応すれば、特段行う必要がある手続はありません。
他方で、古くから当該上場会社の株主の場合や相続で当該上場会社の株式を取得した場合、ほふりに株券を預託しておらず、手元に株券がある株主もいるかと思います。
この場合、
株券電子化前に、ほふりに株券を預託することをお勧めします。
なお、株主名簿に記載のある株主の場合には、万が一株券をほふりに預託するのを失念したとしても、発行会社が権利保全の手続をしてくれますのでご安心ください。
一方で、株主名簿に記載の無い株主は、株券を所有していたとしても、最悪の場合には株主としての権利を失う可能性もあります。
いずれにしてもほふりに預託してない株券をお持ちの株主は、
株券電子化前に証券会社に相談に行くのが宜しいでしょう。
3.上場会社の対応
株式の発行会社である上場会社は、
株券電子化に際して以下の手続が必要です。
上場会社の必要な手続
- ほふりに対する振替制度利用の同意
- 予備株券の準備
- 特別口座を開設する口座管理機関等の公告
- 株式取扱規程の改定
- 株券発行会社への変更登記
- 特別口座の開設と記録
- 定款変更
これらの手続は、
株券電子化前に行う必要があるものや、電子化後速やかに行う必要があるものがあります。
1変更登記は、
株券電子化後にほふりが交付する証明書を添付して自社で法務局に申請する必要があります。登記の申請期限は変更日から2週間以内ですので、あらかじめ準備しておき、証明書が届き次第速やかに登記申請するのが宜しいでしょう。
7定款変更は、決済合理化法施行日に、株券発行の定款の定めが廃止されたものとみなされるので、法律上は不要です。ですが、実際の定款文言を修正するために、施行日後最初に到来する定時株主総会で定款変更決議を行う必要があります。
1、3の手続は、施行日1ヶ月前までに行う必要がありますので、そろそろ準備が必要です。
具体的には、自社と付き合いのある証券会社に相談しながら対応していくのが望ましいと考えます。
4.新規上場会社の対応
決済合理化法施行日後に上場申請する会社についても、既存の上場会社と同様に
株券電子化の影響を受けるので、株券不発行会社となってから上場する必要があります。
その他振替制度利用の同意書の提出等所要の手続が必要になります。
5.まとめ
株券電子化はこれから施行される制度ですので、施行直前直後はいろんな原因でトラブルが起きる可能性も否定できません。
したがって、あらかじめ準備できる事項は万全にしておき、自社に原因があるトラブルを招かないようにすることが上場会社としての責務といえます。
既に準備を進めている企業も多いかと思われますが、不安・不明な点がある場合には、専門家にご相談されることをお勧めします。
次回は、「ストック・オプションとしての新株予約権発行」を予定しています。